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WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査 検査結果の読み取り方

  • 2024/10/18

WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査 検査結果の読み取り方

WAIS-IV(Wechsler Adult Intelligence Scale, Fourth Edition)は、成人向けの知能検査で、主に16歳から90歳までの知能を測定します。

WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査は知能指数(IQ)を計測し、個人の知的能力を総合的に評価するために使用されます。

また、WAIS-IV(ウェイス4)検査は、4つの主要な指標(合成得点)で構成されています。

これらは、言語理解指標(VCI)、知覚推理指標(PRI)、ワーキングメモリ指標(WMI)、および処理速度指標(PSI)です。

また、総合的な知能指数である全検査IQ(FSIQ)も評価されます。

各指標ごとの読み取り方について、詳しく説明します。

1. 言語理解指標(Verbal Comprehension Index, VCI)

言語理解指標(VCI)は、言語的な情報を理解し、言葉を使って論理的に表現する能力を測定します。

この指標は、日常生活でのコミュニケーション能力や、抽象的な概念を理解する力を反映します。

言語理解指標(VCI)に含まれる下位検査には、類似(Similarities)、単語(Vocabulary)、および知識(Information)があります。

類似(Similarities)

2つの異なる事物や概念の共通点を見つけ、それを言葉で説明する力を測定します。

この検査は、抽象的な思考や概念的な理解力を評価します。

単語(Vocabulary)

与えられた単語の意味を説明する能力を測定します。

これは、言語的知識の深さと、日常的にどれだけ言葉を使いこなせるかを反映します。

知識(Information)

社会的な常識や一般的な知識を問う下位検査で、日常生活での知識の活用度を測定します。

言語理解指標(VCI)の指標得点が高い場合、その人は抽象的な思考力が高く、言語的な理解力や表現力が優れていると考えられます。

一方、指標得点が低い場合、言語的な情報処理や表現に困難がある可能性があります。

2. 知覚推理指標(Perceptual Reasoning Index, PRI)

知覚推理指標(PRI)は、視覚的な情報を処理し、空間的な認識や問題解決に関わる能力を評価します。

視覚情報を分析し、操作する能力や、視覚的なパターンやルールを発見する力が測定されます。

知覚推理指標(PRI)に含まれる下位検査には、積木模様(Block Design)、行列推理(Matrix Reasoning)、およびパズル(Visual Puzzles)があります。

積木模様(Block Design)

色のついたの積木を使って、提示された図形を再現する能力を測定します。

これは、空間的な認識や手と目の協調、そして問題解決力を反映します。

行列推理(Matrix Reasoning)

図形やパターンを見て、それに従うルールを発見し、欠けている部分を選択する問題で、抽象的な視覚推論を測定します。

パズル(Visual Puzzles)

視覚的なパズルを解いて、複数のピースを組み合わせて図形を完成させる能力を評価します。

視覚的情報を一度に処理し、それを操作する力を測定します。

知覚推理指標(PRI)の指標得点が高い場合、その人は視覚的な問題解決や空間的な認識力が優れていると考えられます。

低い場合、視覚的な情報の処理に難しさを感じている可能性があります。

3. ワーキングメモリ指標(Working Memory Index, WMI)

ワーキングメモリ指標(WMI)は、短期間のうちに情報を保持し、それを操作する能力を測定します。

これは、日常生活や学習、職業において、複数の情報を同時に扱い、課題に取り組むために必要な能力です。

ワーキングメモリ指標(WMI)に含まれる下位検査には、数唱(Digit Span)と算数(Arithmetic)があります。

数唱(Digit Span)

口頭の情報を順番通りに再生する「順唱」と、逆順に再生する「逆唱」で、短期記憶と情報操作力を測定します。

算数(Arithmetic)

簡単な計算問題を頭の中だけで解決する能力を評価します。

これは、聴覚情報の映像処理と短期的な記憶力を反映しています。

ワーキングメモリ指標(WMI)の指標得点が高い場合、短期間で多くの情報を処理する能力が優れていることを示します。

低い場合、複数の情報を同時に扱うことに困難がある可能性があります。

4. 処理速度指標(Processing Speed Index, PSI)

処理速度指標(PSI)は、視覚的な情報を迅速かつ正確に処理する能力を測定します。

この能力は、日常生活や学業、職場でのタスクを効率的にこなすために重要です。

処理速度指標(PSI)に含まれる下位検査には、符号(Coding)と記号探し(Symbol Search)があります。

符号(Coding)

与えられた記号を見て、それに対応する数字や図形を正確に書き写すスピードと正確さを評価します。

記号探し(Symbol Search)

一連の記号の中から、特定の記号を素早く見つける能力を測定します。

視覚的な情報処理スピードと注意力が問われます。

処理速度指標(PSI)の指標得点が高い場合、視覚的な情報を素早く処理し、効率的に課題をこなす力があることを示します。

指標得点が低い場合、情報処理速度の遅さが学習や日常生活に影響を与える可能性があります。

5. 全検査IQ(Full Scale IQ, FSIQ)

全検査IQ(FSIQ)は、言語理解指標(VCI)、知覚推理指標(PRI)、ワーキングメモリ指標(WMI)、処理速度指標(PSI)のすべての合成得点を統合して計算される総合的な知能指数です。

これは、個人の全体的な知的能力を示すものであり、一般的な知能の評価として使用されます。

全検査IQ(FSIQの読み方)

全検査IQ(FSIQ)の指標得点は、通常、100が平均値であり、85~115の範囲が「平均」とされています。

115以上の指標得点は「優れている」とされ、高い知的能力を示します。

一方、85未満のスコアは、知的な遅れや、学業や職業での困難を示す可能性があります。

全検査IQ(FSIQ)は、全体的な知能を測る指標ですが、個々の指標(VCI、PRI、WMI、PSI)の違いを詳細に見ることで、個人の強みや弱みを把握することが重要です。

例えば、ワーキングメモリ指標(WMI)や処理速度指標(PSI)が低い場合、短期記憶や情報処理速度に課題がある可能性がありますが、言語理解指標(VCI)や知覚推理指標(PRI)が高ければ、言語的な理解や視覚的な問題解決は優れていることがわかります。

WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査 検査結果の読み取り方についてのまとめ

WAIS-IV(ウェイス4)の結果を読み解く際には、各指標の得点を確認し、個々の能力の強みと弱みを分析することが重要です。

言語理解(VCI)、知覚推理(PRI)、ワーキングメモリ(WMI)、処理速度(PSI)のそれぞれが、日常生活や学業、職業において異なる役割を果たし、特定のスキルや能力を反映しています。

特に、総合的な知能指数である全検査IQ(FSIQ)を確認するだけでなく、各指標間のバランスや違いを詳細に分析することで、個人の特性に応じたサポートやアプローチが可能になります。

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発達障害ラボ 車重徳

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大人の発達障害(自閉症スペクトラム障害やADHD)や大人のグレーゾーンの相談歴約20年の大ベテラン。知能検査WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査の読み取りに定評があり、自身の特性や特性に合った職種、働きやすい職場環境などを提案。また、WAIS-Ⅳ検査の低い指標の伸ばし方もお伝えできます。